Positive Sociology
Uttieさんへ
昨年末12月に、東京で2回目となる縁下村塾(非戦経営実践講座)のオープンセミナーを開催したのですが、そこで久しぶりに再会した大切な友人が、ボランティアとして実行委員を務めているというご縁で「shiawase3.0」というシンポジウム@武蔵野大学有明キャンパスに行ってきました。
プログラムは結構充実していて、基調講演から学会、対談、各種ワークショップ、そして、ボランティアによって託児サービスまであるというホスピタリティ。
これが参加費無料で開催されるというのです。
今年で3回目となるこのイベント。
前回までの2回は、共同実行委員長の前野隆司さんが教授を務める慶應義塾大学で行われていたのだとか。
無料のイベントだということが大学側で問題となり、今年は開催できないかもしれないという危機に、3年前から「しあわせ研究所」を開設していた武蔵野大学の西本照真学長が会場提供を快諾し、無事開催に漕ぎ着けたというエピソードが基調講演の中で紹介されていました。(色々と言いたい事はありますが、紹介に留めておきますw)
対談の登壇者の一人「未来の住職塾」塾長 松本紹圭さんは、2013年の世界経済フォーラム(いわゆるダボス会議)の「ヤング・グローバル・リーダーズ(YGL)」にも選出されるなど、仏教業界に新たな風をもたらしている異色の若手僧侶。
自らのキャリアを「赤門から仏門へ」と紹介し場を和ませた上で、仏道修行者の三学、戒定慧の「戒」は「習慣であり、人柄であると理解する」とし、神谷町光明寺で開催しているテンプルモーニング(お坊さんとお参り・掃除・お話を行う)のお掃除について「重要なポイントは終わりがないこと。すごく大切。完璧はあり得ないと教えてくれる。」と解き、会場に集まった数百人の心を静かに包み込んでいました。
また、「南無阿弥陀仏だけ唱えれば良いって、少し雑ではないか?」という挑発的な質問にも、誤魔化さず、自分の考えを述べられていたのがとても印象的でした。(もっと聞きたい人は武蔵野大学に入ってください。とのことですw)
そして、圧巻だったのは、脳科学者の茂木健一郎さん。
「ハピネス?指数?友達の数?押し付けじゃない?」
「息子さん3人が東大。クズの世界。」
「ビッグになりますよ!って奴はビッグにならない」等々
その他、ここでは書けないようなことも含めて、持ち時間いっぱいまでフルスロットル。
毒舌の中に時折、本質的で深い洞察を織り込み、松本さんとは対照的に、聴衆の心をまさに「鷲掴み」していましたw。
最後の最後まで、「この国のパブリックスピーチの枠は狭い!」「地上波なんて見てちゃダメ!」と、持論を展開。普通、これだけ言いたい放題だと嫌悪感が先に立ちますが、彼の場合、不思議と素直に入ってきます。毎日大量のアウトプットを継続している重みが、そのまま圧倒的な対話力につながっているのでしょうね。
午後から開催された学会でも、
「死者の幸福は語りうるか」一ノ瀬正樹(武蔵野大学グローバル学部教養教育(哲学)教授)
「ポジティブ心理学から考えるウェルビーイング:統合的アプローチ」小林正弥氏(千葉大学)
と行った学術的なアプローチかつ斬新な切り口での講演をはじめ、企業で働く人や医療機関でケアする人のためのウェルビーングまで、新たな視座を与えてくれるコンテンツの数々。途中から、これが無料ということ自体が申し訳なく、できればお金を払いたいと感じるほどでした。(無料サービスの是非についてもいつか語り合いたいテーマですね)
時間の都合でワークショップには参加できませんでしたが、多様性のある数十種類のプログラムが提供されていたようです。
日本では「幸せ学」というと、胡散臭いとか、宗教っぽいとか(あ、牧師さんに失礼な言い回しですね...)、偏見を持たれることが少なくありません。実際、午後の学会で登壇した教授たちは、それぞれのホームで少々訝しげな目で、ともすると異端児として見られることもあるのだとか。一方、数年前、Googleがマインドフルネスを導入したことが話題なったのを憶えていらっしゃるかもしれませんが、経営学の本場アメリカでは学会でも専用の会場が「幸せの経営」をテーマに設けられ、well-being等について盛んに議論されているのだそうです。
Here’s to the crazy ones.
The ones who see things differently.
...they can change the world, are the ones who do.
シンポジウム共同実行委員長の前野氏は、様々な学問領域に「ポジティブ」なアプローチがあって欲しい。という趣旨の発言をされていました。
私たちの Move on cafeは、移動という切り口から世界を切り取り、テーマごとに草の根でシンポジウムを行う、ある意味「社会学(Sociology)」の一端でもあると捉えています。人生の移行期に差し掛かった人が、自らの「リ・ビジョニング」にポジティブな気持ちで向かい合えるよう、少しでも貢献できる対話を重ねられればとても嬉しいことですよね。
サイロの中に閉じこもった学術ではなく、粗削りでも人々にパワーを提供できる「Positive Sociology」実践の場として、秋からの「Move on Cafe Season.2」、常若の精神でトライし続けたいものです。
・・・少し飲みすぎて熱くなりすぎたかもしれません。^^;
よい夢を。おやすみなさい。
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