異邦人として
親愛なる竜さん
1週間ほど前から日本入りしました。
イタリアから愛する母国である日本に戻ってきたときに感じる、異邦人としての「きづき」の感覚をとても大切にしています。
たとえば、成田空港に降りたった時に感じる過剰とも言える人員配置やサービスに驚かされます。
例を挙げると、パスポートコントロールのカウンター前には、必ず係員が立っていて「日本国籍の方はこちらにお並びください。」
英語で「外国籍の方はこちらへ」とアナウンスをしています。
荷物をピックアップするベルトコンベアーの所には「荷物のお間違いにお気をつけください。」と言うアナウンスをする係員が立っています。
結構世界のあちこちの空港に降り立っていますが、ここまで過保護なインフォメーションをする空港を僕は知りません。
世界的に空港では人員削減の傾向が顕著で、重要なインフォメーションはサインボードをチェックするのが常です。
これは日本の「おもてなし文化」の一端なのかも知れませんが、その影て何かが犠牲になっているのではないかと言うことも気になったりします。
2014年のことですが、ATA(国際航空運送協会)のトニー・タイラー事務総長兼CEO(最高経営責任者)が、日本の航空政策について「空港の使用料が他国と比べて格段に高い。高額な使用料が日本経済にとって競争上不利になっている」と指摘し、改善を求めたことがあります。
こういった外国からの提言は異例なことですが、傾聴に値する重要な指摘だったと思います。
ですが残念なことに変革すると言う選択を日本は未だに保留にしているようです。
「国際メガハブ空港ランキング」というデータによると、アジア太平洋地区の空港はで、シンガポール・チャンギ国際空港が第8位であるのに対し、成田国際空港は42位と国際ハブ空港としての機能で、日本は近隣諸国の後塵を拝する結果となっています。
いつの間にか専門外である空港行政に触れてしまっていましたが、肌で感じる「変革を拒む日本の姿」の一例です。
たまに帰国して、母国の姿を嘆き愚痴を言いたいのではありません。
国の選択と言うのは、そこで暮らす一人ひとりの選択の集大成だと思うのです。
グローカル(glocal)という、僕の好きな和製英語があります。 グローバル(global)とローカル(local)から生まれた造語ですが、国境を越えた地球規模の視野と、草の根の地域の視点で、さまざまな問題を捉えていこうとする考え方のことです。
僕はこのアクションを1人で孤独に行うと思っていません。竜さんとの会話や、Move on cafeというプラットフォームが、グローカルな視点で社会を見つめ、次の具体的が第一歩や選択の道しるべとなることを願っています。
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